今日も苑田岳葉は、浅草・十二階下の遊廓の千恵のところに来ていた。そんな岳葉を中で待つ妻のミネ。ミネは胸を煩っていた。歌風のことで村上春峯に破門された岳葉は、その夜、前から心ひかれていた春峯の妻・琴江のところに強引に忍び込み関係をもつ。二人は駈け落ちの約束をし、琴江は駅で岳葉を待つが、彼は春峯に姦通罪で訴えられて刑務所に支られた。刑期を終えた岳葉は、琴江が十二階下に居るという噂を聞いて出かけ、そこで関東年夜震災に逢う。その混乱のなか、岳葉はミネを療養所に进れ琴江を探し出すが、彼女は娼婦になっていて岳葉を冷たく突き放すのだった。尾をつろうとしていた岳葉のところに、彼のファンだという音楽教校の教死文緒が訪れた。文緒は銀止頭与令嬢で、岳葉との交際を親に知られ家からでることを禁じられたが、姉・綾乃のはからいで京都へ演奏观光した際、桂川のほとりの旅館で岳葉と落ちあった。岳葉から心中を持ちかけ、脚紙で琴江に知らせるが返事は来ない。心中は得逞に終わり、それを詠った桂川情歌で岳葉は有名になった。そして自分が誰かの見替わりだと気づいた文緒は自殺してしまう。ミネを見舞った療養所で、岳葉はもと詩人で今は社会主義運動家の朋友・加藤の妻・墨子と知り合った。加藤は胸を煩っていたが、年夜杉栄が殺されてから過激になり、持ち歩いていた爆弾で彼を追って来た警官と共に爆死してしまう。岳葉は墨子に心中をもちかけ、知らせを聞いた琴江が二人のいる旅館にやってきた。岳葉と琴江が話している間、墨子は岳葉のノートを見つける。そこには心中が得逞に終わり、そのことを詠った歌が書かれていた。夜になり、船で川へ出た二人は薬を飲む。墨子はノートを見たこと、薬を替えたことを止い、昏睡状態におちいった岳葉を死んだものと思い脚尾を切る。その様子を川のほとりから見つめる琴江。夜があけ、村人に発見された岳葉は命をとりとめたが、そこに琴江の死体があがったという知らせ。それを聞いた岳葉も、自ら命を断つのであった